Site Mark
将棋MAP

四間飛車ミレニアム

2022年11月17日に投稿
序章 四間飛車ミレニアムとは
2
第1図は☖8一玉まで
対居飛車穴熊の新構想
 四間飛車ミレニアムの第1号局は2018年4月27日第68期王将戦一次予選☗澤田六段対☖都成五段戦(肩書は当時)。四間飛車ミレニアムを採用した都成五段が快勝し多方面にインパクトを与えた。2020年にはタイトル戦(第1図)にも登場してさらに注目が高まっている。
 四間飛車ミレニアムはどんな戦法だろうか。一言で表すとすれば、「勝ちやすさと負けにくさを兼ね備えた戦法」である。特に高い攻撃力が魅力であり、従来の美濃と比較して端攻めや☖6五歩の仕掛けで作戦勝ちしやすい。居飛車穴熊側の対策は色々あるが、四間飛車ミレニアムはどれも互角以上に戦える優秀な戦法である。
四間飛車ミレニアムの概要
3序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの概要
第2図は☗9四歩まで
第3図は☗9四桂まで
第4図は☗9四桂まで
ミレニアムの主役は☖7三桂
 何のためにミレニアムに囲うのだろうか?最大の理由は「☖7三桂を使って攻めるため」である。ミレニアムは美濃の欠点を克服した囲いであるため、「端攻め」「☖6五歩☗同歩☖同桂」の攻めで桂を使いやすいのである。
 美濃は端攻めの反動が大きいことが欠点である。たとえば、端歩の突き捨てが早いと第2図のように☗9四歩と端を逆襲されて負担になったり、第3図のように渡した桂で王手されて玉が危険になったりする。ミレニアムでは☖8一玉☖8二銀と構えることでこの欠点を克服している。第3図と第4図を比較してみれば玉の安全度の違いは明らかだ。端攻めするためにミレ
4
第5図は☗3七角まで
第6図は☗5五角まで
第7図は☗5五角まで
ニアムに囲うといっても過言ではない。
 美濃は玉が角筋に入ることが欠点である。したがって、☖6五桂と跳ねる攻めは無理攻めになりやすい。たとえば、第5図は間接王手飛車で失敗した局面、第6図は王手香取りで失敗した局面である。美濃は☖6五桂と跳ねてしまうと角の転換や角交換よって王手が掛かるため、桂を攻めに使いにくい。第7図のように、ミレニアムであれば王手にならない。ミレニアムは玉が角筋に入らないので☖6五桂と跳ねる攻めが可能である。
 ミレニアムの勝ちやすさの原動力は「桂」である。ミレニアムは桂の活用を主軸とした戦法であることを理解して欲しい。
5序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの概要
第8図は☗6四歩まで
第9図は☗5五桂まで
第10図は☖6一歩まで
☖6二金型が固い
 ミレニアムは攻撃力だけでなく、穴熊に対抗できる高い守備力を兼ね備えている。特に☖6二金型が固い。3つの利点がある。①金の当たりが弱い②☖6三銀が可能③底歩が固い
 高美濃は☖6三金の当たりが強いことが欠点である。たとえば、☗6四歩(第8図)と叩かれたり、☗5五桂(第9図)と打たれたりして囲いが弱体化することがよくある。☖6二金型ミレニアムはこの欠点を克服している。
 6三に空間があるため、☖5四銀↓☖6三銀↓☖7二銀と銀を玉に引き付けられる。また、☖6一歩(第10図)の金底の歩が非常に固い。この守備力の高さが負けにくさに直結する。
6
序盤分岐図は☖8二銀まで
 初手からの指し手
☗2六歩 ☖3四歩 ☗7六歩 ☖4四歩
☗4八銀 ☖9四歩 ☗9六歩 ☖4二銀
☗5八金右☖4三銀 ☗6八玉 ☖4二飛
☗2五歩 ☖3三角 ☗5六歩 ☖6二玉
☗7八玉 ☖7二玉 ☗5七銀 ☖5二金左
☗7七角 ☖7四歩 ☗8八玉 ☖7三桂
☗6六歩 ☖6四歩 ☗9八香 ☖5四銀
☗9九玉 ☖4五歩 ☗8八銀 ☖8二銀
             (序盤分岐図)
駒組み
 四間飛車ミレニアムの駒組みは注意すべきポイントが沢山ある。ここでは簡単に序盤分岐図までの駒組みについて説明を行う。
四間飛車ミレニアムの駒組み
7序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
第11図は☖9四歩まで
参考1図は☖9四歩まで
参考2図は☖4五歩まで
 初手からの指し手
☗2六歩 ☖3四歩 ☗7六歩 ☖4四歩
☗4八銀 ☖9四歩      (第11図)
囲い合う前に☖9四歩
 端攻めのためにミレニアムに囲うと言っても過言ではない。そのため、端歩は必須である。☖9四歩のタイミングは囲い合う前がよい。囲い合ってからでは遅い場合がある。たとえば、参考1図のように囲い合ってから☖9四歩とした場合、☗2四歩と仕掛けられると後手は端攻めの反撃がない分損である。
 第11図で☗9六歩と受けなかった場合は☖9五歩と突き越す。端歩突き越し型の四間飛車ミレニアム(参考2図)は次巻で取り上げる。
8
第12図は☖5二金左まで
参考1図は☖7二銀まで
参考2図は☖8一飛まで
 第11図以下の指し手
☗9六歩 ☖4二銀 ☗5八金右☖4三銀
☗6八玉 ☖4二飛 ☗2五歩 ☖3三角
☗5六歩 ☖6二玉 ☗7八玉 ☖7二玉
☗5七銀 ☖5二金左     (第12図)
☖7二玉のタイミング
 ☗7八玉には☖7二玉と呼吸を合わせる。
☗7八玉の前に☖7二玉を決めてしまうのは少し形を決めすぎ。☗7八玉に代えて☗7八銀であれば、☖7二銀(参考1図)と呼吸を合わせる手を選択できる。先手が銀冠穴熊に囲った場合、参考2図のように地下鉄飛車で迎え撃つのが面白い構想だ。細かいようだが、駒組みの選択肢を広く持つことが損をしないコツである。
9序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
第13図は☗7七角まで
参考1図は☖7二金まで
参考2図は☖8一玉まで
 第12図以下の指し手
☗7七角            (第13図)
天守閣美濃と☗3六歩
 ☗7七角と穴熊を目指す。☗7七角に代えて☗8六歩から天守閣美濃には参考1図のように銀冠に囲って一局の将棋である。銀冠以外には参考2図のミレニアムも有力である。☖6四歩を突かないのが工夫で、☖4二角から☖6四角や☖8五歩の狙いがあって角を活用しやすい。
 ☗7七角に代えて☗3六歩として急戦と持久戦のどちらも選べる形に構える作戦も有力である。後手は両方対応できる手を選択する必要があるため、工夫を凝らす必要がある。☗3六歩に対して☖8二玉や☖6二金上は形を決め過ぎ
10
参考3図は☖5四歩まで
参考4図は☖5五角まで
参考5図は☖3二飛まで
ている感があるし、☖3二飛から☖3五歩と仕掛けるのは後手番で飛車を振り直して攻めるということだから少々無理な感がある。悩ましいところだが☗3六歩には☖5四歩(参考3図)が最も有力ではないかと思う。その理由は、持久戦になったときに☗3六歩をとがめる手段があるからだ。☗3六歩を早く突くことのデメリットは飛車のコビンが空くことである。たとえば、参考4図のように5五で歩を交換できれば飛車取りになる。☖5四歩は☖5五歩と仕掛けるための準備の手という訳である。なお急戦については☗4六銀に☖3二飛(参考5図)とすれば対応できる。①☗3五歩は☖4二角、②☗3七桂は☖8二玉でよい。
11序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
第14図は☖7四歩まで
参考1図は☖6二金上まで
参考2図は☖8四銀まで
 第13図以下の指し手
☖7四歩            (第14図)
耀龍四間飛車
 ☗7七角には☖7四歩が推奨手。代えて☖6四歩は急戦されたときに☖6四角がないので少し損である。(第14図)で☗3六歩には前頁同様、☖5四歩でよい。☖5四歩以外には☖6二金上(参考1図)の耀龍四間飛車も有力である。急戦には☗7七角を咎めて☖7五歩と玉頭から反撃できたり、居飛穴には参考2図のように☖9三銀~☖8四銀と銀を繰り出して端攻めを狙えたりと優秀な作戦である。プロの前例では片上六段(肩書は当時)が☗3七歩型に対して参考2図の形を採用している。
12
第15図は☖7三桂まで
参考1図は☖5四銀まで
参考2図は☗9九玉まで
 第14図以下の指し手
☗8八玉 ☖7三桂       (第15図)
☗6六歩を催促
 ☖7三桂と跳ねて☖6五桂を見せることで☗6六歩を催促する。☗5七銀保留型の場合は☖6五桂が両取りにならないので、☖5四銀(参考1図)として☖6五銀を見せるのが良い。
 ☗6六歩を催促する狙いは主に2点ある。1点目は☖4五歩を可能にすることである。飛車角を働かせる狙いだ。2点目は☖6五歩の争点を作ることである。後手から☖6五歩と仕掛けることでペースを握りやすくなる。逆に☗6六歩を催促できない場合、参考2図のように組まれると先手の模様が良くなるので注意。
13序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
第16図は☗6六歩まで
参考1図は☖6四歩まで
参考2図は☖7六銀まで
 第15図以下の指し手
☗6六歩            (第16図)
☗6六銀の変化について
 ☗6六歩に代えて☗6六銀は、☖6四歩(参考1図)として☗7五歩の桂頭攻めに備える。☗7五歩は☖6三金と受ければ大丈夫。参考1図で☗9八香以下穴熊に囲うのは、☖4五歩(次に☖8五桂☗6八角☖6五歩が狙い)☗9九玉☖5四銀☗5七銀☖7七角成☗同桂☖6五桂☗同桂☖同銀☗7八金☖7六銀(参考2図)が一例の進行で後手不満なし。☖4五歩~☖5四銀が間に合うので穴熊に対応可能だ。途中☗5七銀に代えて☗5五歩は☖6三銀~☖6五歩~☖6四銀で☗5五歩を取りにいけばよい。
14
第17図は☖6四歩まで
参考1図は☗8六角まで
参考2図は☖7二金まで
 第16図以下の指し手
☖6四歩            (第17図)
☖6四歩はすぐに突く
 ☖6四歩は価値の高い手。守備の面では☖5四銀~☖6三銀のように固める余地を作った意味があり、攻撃の面では将来的に☖6五歩からの仕掛けを作った意味がある。この☖6四歩に代えて☖5四銀は☗8六角(参考1図)と☖6四歩を阻止する変化を与える。参考1図からミレニアムに囲うのは☖6五歩からの仕掛けがないので面白くない。参考1図からは参考2図のように銀冠に囲えば後手不満なしだが、とにかくミレニアムに囲いたいならば☖6四歩はすぐに突いた方が良い。
15序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
第18図は☖5四銀まで
参考1図は☖4五歩まで
参考2図は☗6六銀まで
 第17図以下の指し手
☗9八香 ☖5四銀       (第18図)
☖5四銀は早めに
 後手の左銀は飛車先を通す意味で早めに☖5四銀と上がるのが良い。良くない駒組みの例として参考1図を挙げる。一見自然な駒組みだが☖4三銀で飛車先が止まっていることに注意して欲しい。参考1図以下☗2四歩☖同歩☗6五歩☖同桂☗3三角成☖同桂☗6六銀(参考2図)と進行すると☖4三銀が重く、後手の反撃が遅くなってしまっている。参考2図で☖5四銀では☗2四飛~☗2一飛成からの攻めが早く後手大変である。なので予め☖5四銀と上がって飛車先を通すのが重要である。
16
序盤分岐図はmoveまで
参考1図は☖8一玉まで
参考2図は☖4五歩まで
 第 図以下の指し手
☗9九玉 ☖4五歩 ☗8八銀 ☖8二銀
☗6七金 ☖7一金    (序盤分岐図)
☖8二銀+☖7一金+☖5二金がベスト
 隙を作らないように☖7一金↓☖8一玉の順番で入城するのが重要だ。☖7一金を省略して☖8一玉(参考1図)は☖6一金が離れ駒なので☗2四歩☖同歩☗6五歩と仕掛けられて後手大変。☗2一飛成が金取りになるのが厳しい。
 ミレニアムの囲い方には種類がある。☖7一銀+☖7二金は端歩突き越し型(参考2図)では有力だが、☗9六歩型の場合は損。☖8二銀型と比較すると、9三の地点に効きがないのが欠点である。☖9五歩☗同歩と突き捨てた際に
17序章 四間飛車ミレニアムとは / 四間飛車ミレニアムの駒組み
参考3図は☗9四歩まで
参考4図は☖8一玉まで
参考5図は☗6八銀まで
☗9四歩(参考3図)の逆用があるため端攻めの反動が大きい。9三を受けるために☖8二銀が必要となるが、それであれば端攻めする前から☖8二銀型に囲う方が合理的である。☖8二銀は一見何気ない手だが、端攻めの準備の意味があることを理解して欲しい。
 参考4図のように☖8二銀を決めずに☖6二金寄から囲うのも考えられる。臨機応変に☖7一銀型か☖8二銀型か選ぼうという戦略だ。参考4図以下は☗2六飛☖4四角☗3六飛☖3二飛☗8六歩☖7二金上☗6八銀(参考5図)が一例の進行で、浮き飛車から松尾流穴熊を狙われるのが厄介。そのため☗3六飛に☖4三金と受けられる☖5二金型が推奨である。
18
駒組みチェックリスト
19駒組みチェックリスト
図は☖9四歩まで
図は☖6四歩まで
図は☖5四銀まで
図は☖7一金まで

コメント

コメントを読み込む準備をしています
四間飛車ミレニアム