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将棋MAP

指す将順位戦6th名人戦観戦記(20211116)

1指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
第一図 ☖5四歩まで
先手:くらげちゃん 後手:にこはる
日時:2021年1116
対局場:ホテル椿山荘東京からもアクセス可能な将棋倶楽部24の大阪道場
初手からの指し手
☗7六歩☖8四歩☗7七角☖6二銀☗6八銀☖3四歩☗6六歩☖8五歩☗1六歩☖1四歩☗6七銀☖7四歩☗6八飛☖4二玉☗4八玉☖3二玉☗3八玉☖5四歩【第一図】
 指す将順位戦6th。S級を制したくらげちゃん氏、それに続いたにこはる氏による名人戦が行われた。(前名人YH氏が不参加のため)
 戦形は事前の予想通り、相穴熊戦の模様へ。先手早めの仕掛けが想定されるが果たして。
指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
2
第二図 ☗7八飛まで
第三図 ☗7七角まで
☗2八玉☖5二金右☗1八香☖5三銀☗1九玉☖3三角☗2八銀☖2二玉☗5六銀☖4四歩☗3九金☖1二香☗7八飛【第二図】
 四間穴熊の組み上がりの早さだ。後手も穴熊へ移行しようとした瞬間の☗7八飛。
 これがくらげちゃん氏が今期よく見せてきたスタイル、軽快な速攻でポイントを稼ぐ算段。
☖3二金☗5九角☖4五歩☗7五歩☖8六歩☗同 歩☖6六角☗7四歩☖7二歩☗7七角【第三図】
 後手熊る前に対処に追われる展開へ。突き捨てを入れてから☖6六角と飛び出すも、7筋を詰めて角をぶつけられると交換確定で何とも。
 交換後の飛車走りは☖6五桂の返しが痛い。
3指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
第四図 ☖3三桂まで
変化1 ☗6八金まで
☖同角成☗同 桂☖3三桂【第四図】
 玉のコビンを閉じた第四図。
 先手の主張は玉形の差、打たせた7二歩、銀桂の働き。後手の主張は飛車が走れること、8七角の存在。
 これが棋書なら振り飛車ヨシで章を締めたいところだが、現実はまだまだこれから。
【第四図より】☗8五歩☖5五歩☗同銀☖8七角☗7九飛☖7六角成☗6八金【変化1】
 KENTOが一つ示したのが☗8五歩。馬を作られたときに桂が負担になるように思えて選択しづらいが、進めてみると後手の手は難しい。馬を引いて歩を補充したいが、ちらつく7一角と6五桂が厳しいようだ。
4
第五図 ☗5六歩まで
第六図 moveまで
【第四図より】☗8五桂☖8七角☗7九飛☖5五歩☗6七銀☖6五角成☗5八金☖6四馬☗5六歩【第五図】
 先手の選択は桂跳ね、飛車先を通し飛車先を封じる。変化との違いは後手が6五に馬を成れること。
 怖い8六馬を防がずに指したのは☗5六歩。
☖8六馬☗7三桂成☖8四飛☗7二成桂☖6四馬☗8二歩【第六図】
 ☖8六馬にはカウンターの☗7三桂成があった。飛車が走れない状態での一撃。ここで持ち時間が無くなったにこはるは、馬を戻して飛車の侵入を見せる。
 先手は優位拡大のため☗8二歩と打つも……
5指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
第七図 ☗8一歩成まで
第八図 ☗7七角打まで
☖8八飛成☗5九飛☖7六歩☗同 銀☖5六歩☗8一歩成【第七図】
 飛車を5筋に追いやって☖5六歩と取り込んだ形は後手もやる気が出てきたように見える。馬を活かして先手の攻め駒を手早く攻めたい。

 つまりこの瞬間技があった。
☖8六馬☗6六角☖5九馬☗同 金☖7九龍
☗7七角打【第八図】
 ☖5七歩成☗同金☖8六馬でどうだったか。本譜との違いは金が上ずって守りに戻れない事。左金が穴熊にくっついていないのが先手の弱み。そこを突くべきだったようだ。
 先手は角を重ね打って攻防に利かす。
6
第九図 ☖同金まで
第十図 ☗3八金まで
☖7八飛☗5四歩☖7七飛成☗同 角☖同 龍☗5三歩成☖同 金【第九図】
 角の重ねには飛車の重ね! と対抗するも☗5四歩が八方手裏剣。取ると4四桂が刺さるため触れない。
 致し方なしの差し違えも第九図まで進むとはっきり先手がよさそうだ。
☗6五銀☖7九龍☗6九歩☖6六角☗2六桂☖7五角打☗3八金【第十図】
 ☗6五銀で手番を握ったにこはるが先手陣に襲い掛かる。☗6九歩が利くので大丈夫と見ていたが、お返しの角の重ね打ちは思った以上の迫力でくらげちゃんの攻めを躊躇わせた。
 持ち駒は無いが玉に迫る手段はいずこ。
7指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
第十一図 ☖2五桂まで
第十二図 ☖3八龍まで
☖8八龍☗5八歩☖5七歩成☗3四桂☖2一玉☗4一銀☖2五桂【第十一図】
 竜を引いて金に当てたが、☗5八歩と打たれるとまだまだ遠い。稼いだ手番で☗3四桂~☗4一銀が実現、これが単純に厳しい。
 今読んでいる『終盤のストラテジー』の言うところの「守りの金を攻めろ」である。
☗7六銀☖8四角☗9一と☖5八と☗6七銀☖5九と☗6六銀☖3八龍【第十二図】
 先手は角の利きを無くす手順を選択。しかしその選択は危うかった。
 十二図で後手玉に詰みはない、先手玉は6六の銀が王手で回収可能のため詰めろだ。
 ……あれ? ついにひっくり返った?
8
変化2 ☗5一飛打まで
第十三図 ☗4八角打まで
【第十二図より】☗3二銀成☖同玉☗3九金☖同竜☗同銀☖6六角☗5一飛【変化2】
 しかし返し技はあったようだ。穴熊ならではの金埋めである。これだけでは角に飛び出されると厳しいのだが、変化2図の飛車打ちは詰めろであり解除が困難。先手玉はZで勝ち……
 秒読みでこの手順は、さすがに。
【第十二図より】☗5五角☖4四金打☗3九香☖2八龍☗同 玉☖5五金☗同 銀☖3九角成☗同 玉☖5七角☗4八角【第十三図】
 ☗5五角は6六角を防ぎながら後手玉に迫る手ではあったが盤面は風雲急を告げる。にこはる氏が秒読みを限界まで使って詰みを読む。
 控え室では一枚足りないとの声が上がる。
9指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
第十四図 ☖4八金まで
第十五図 ☖3四玉まで
☖4九金☗2八玉☖3九銀☗1九玉☖4八金【第十四図】
 決めるだけ決めて、詰めろをかける方を後手は選択した。1三角成と戻すのではという意見もあったが、賭けるなら確かにこちらだろう。
 いよいよフィナーレ、読者諸兄は後手玉の詰み筋が見えるだろうか。
☗3二銀成☖同 玉☗2二金☖3三玉☗3二飛☖同 銀☗同 金☖2四玉☗3三銀☖3四玉【第十五図】
 途中の☗3二飛に驚愕。清算してしまうと☗3一飛打から簡単なため☖2四玉と上がるが追いかけられてこの局面。
10
投了図 ☗2六角打まで
☗2四金☖同角成☗4四飛☖3五玉☗2四銀不成☖同 歩☗2六角【投了図】
 ☗2四金、☗4四飛と連続で大技が炸裂。芸術的な詰みとなった。
 くらげちゃんさんが早い仕掛けからリズムをつかみ、評価値としては二転三転したものの対局の流れを渡さずに押し切った。
 S級の対局を通じて四間穴熊の可能性を見せていただいた。強い。
 にこはるさんは序盤リードを奪われた後、柔軟な指し回しで先手陣に食らいつき見せ場は作ったが、一歩穴熊に届かなかった。迫った時も後手ペースの局面はなかったかもしれない。

 二局目は不戦勝という形になり、くらげちゃんさんが第六期指す順名人位を獲得した。
11指す将順位戦6th名人戦 くらげちゃん VS にこはる
再掲 第十三図
変化3
(おまけ)第十三図の見直し
 実際はここで後手に形勢は振れていた。その手順を追ってみたい。
 控室では3八香から何とか詰まないかという話が上がったが一枚足りないという結論に至っていた。そもそもその変化は☗4八金と受ければ起きていないのだが……
【第十三図より】☖3八歩☗同玉☖4九銀☗2八玉☖2四角成【変化3】
 我々は詰みだけを考えていた、いや、確かに1三角成と戻る手順も考えていたが実際はそこではなかった。
 もっと言えば3筋に歩が立つのをすっかり忘れていた。この状況はキャンセル待ちである。
12
変化4
再掲 第二図
【変化3より】☗3九金☖3四馬☗5九角☖4二銀【変化4】
 このキャンセル待ち、まともに攻め込むと馬が強くて詰まず金気を渡すことになるためとても強烈。仕方ない3九金には重しの桂馬を外して再び中盤戦へ逆戻り。
 だがこの展開を読むことは困難であった。

 再度、第二図を見てみたい。
 この形で先手(先手だからというわけではないが)が戦えるというのは非常に有意義な話でした。
 フォームを持つことはとても重要だと思わされた観戦でもありました。

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