先手四間飛車☗3八玉型☗9六歩の戦略
☗9六歩型
【テーマ図は☖5三銀まで】
テーマ図が☗3八玉型で悩ましい局面。基本的な候補手は以下である。
①☗5六歩
②☗4六歩
③☗3六歩
どの歩を突くかで形が決まるため、戦いの方針を決めることになる。これにより居飛車は四間飛車の形によって、急戦や持久戦を選択できるのがアドバンテージを得る。そのためいずれの選択肢も四間飛車に苦労が多い印象である。
故に、基本図ではまだ形を決めたくない。そこでテーマ図では④☗9六歩(基本図)として、居飛車に手を渡す戦略が有力となる。☗9六歩はパスした手ではなく、中盤戦で意味が出てくるので、都度解説する。
【基本図は☗9六歩まで】
基本図以下は
①☖7四歩
②☖3三角
③☖9四歩
基本図以下☖7四歩
【第1図は☖7四歩まで】
☖7四歩は急戦を狙った手。①☗2八玉として美濃にするか、②☗5六歩として☗7八玉型を維持するのが有力である。
◇☗2八玉の変化
①☗2八玉以下、最近流行りの箱入り娘右銀急戦に対して☗9七香(参考1図)が☗9六歩を生かす好手となる。
【参考1図は☗9八香まで】
参考図以下☖4四角には☗3五歩として下記のように進む。居飛車は桂香を拾えず先手十分となる。
このように対急戦においては☗9六歩は価値を持つので、☗2八玉には☖3三角の方が有力である。以下は後手四間飛車の定跡に合流する形となる。後手四間飛車を履修しているならば、覚えることが少なく済むので☗2八玉はコスパがよい。
◇☗3八玉型を維持する☗5六歩
とはいえ、できれば穴熊に対しては☗3八玉型のまま戦いたい。そのため②☗5六歩(第2図)として☗3八玉型を維持するもの有力である。
【第2図は☗5六歩まで】
☖6四銀~☖7五歩の急戦は下図のようにすれば問題ない。
☖3三角以下穴熊には下図のように端棒銀を狙う構想である。
◇端角対策
次に、☗5六歩は端角の対策が必要なので解説する。後手四間飛車の場合☖5四歩は推奨していない。なぜなら☗6六歩として6筋位取りを狙うのが有力な対策で、☖6四歩と拒否すれば☗9七角(参考2図)と覗いて☖5四歩をとがめてくる。
これが厄介なのだが、先手番で☗9六歩を突いていると対応できる。
【参考2図は☗9七角まで】
☖4四歩☗4六歩☖1三角☗5七金に☖4五歩は以下が一例の進行で、参考3図までの解説を割愛するが、重要なのは四間飛車は☗5八金~☗4九飛と構えるのがバランスがよく、☖8八歩に☗9七桂が可能なのでこの構想が実現できるということである。よって後手の仕掛けで簡単に潰れない。
【参考3図は☗4九飛まで】
(参考3図以下は☗2六歩~☗2五歩☖1三角☗1六歩☖同歩☗1五歩☖同香☗1四歩☖2二角☗2六金を狙う。)
☖4五歩に代えて、☖2四角から穴熊狙いに関しては☗6六銀として仕掛けるのが有力で、以下が一例の進行で、参考4図までの解説を割愛するが、重要なのは、☖8七歩に☗9七角があるので、仕掛けが成立するということである。
【参考4図は☗9七角まで】
(代えて☗7九角では☖5五銀☗同銀☖5七歩成☗同金☖7七歩成☗4八飛☖6七とで後手勝勢)
このように、水面下で☗9六歩が輝く場面は多い。そのため第2図の☗5六歩は有力なのである。
基本図以下☖3三角
☖3三角には☗3六歩として、穴熊に端棒銀を狙う。
端棒銀対策の最前線として、すぐに穴熊に潜らず、☗5六歩☗6九飛には☖4二角~☖6二銀を狙う仕掛けがあるのでその対策を示す。この構想は将棋世界2025年2月号第12回プロ棋界の最新定跡(あらきっぺ)の記事が詳しい。
ここでも水面下で☗9六歩が意味を持つ。
【第3図は☗5六歩まで】
【第4図は☗8九飛まで】
☖4二角~☖6二銀以下は第4図までは一直線の進行。
このとき、後手四間飛車の場合は☗9六歩をついてないので、☖8七歩と垂らして☗同飛☖7六歩で攻めを加速する手が有力で居飛車有望なのだが、☗9六歩をついている場合は☖8七歩☗7五歩☖同飛☗8七飛で不発となる。
そのため第4図以下は☖7六歩☗8二歩成☖7五飛☗8四角☖8八歩の進行が予想され、激戦で良い勝負となる。
基本図以下☖9四歩
☖9四歩は後手も形を決めたくないとして、先手に手を渡した形だ。先手は9筋の歩交換が得になるように手を選びたい。推奨は☗4六歩(第5図)である。
【第5図は☗4六歩まで】
◇急戦の対応
第5図以下☖7四歩☗2八玉☖6四銀☗3八銀☖7五歩☗7八飛は一局の将棋。☗9七香が選べるので9筋の歩交換は先手が得をしているとみてよいだろう。
◇☖3三角~☖7四歩急戦への対応
第5図以下☖3三角に☗3六歩は形が悪いとみて☖7四歩(第6図)から急戦に切り替える作戦には、狙いの反撃手段がある。
【第6図は☖7四歩まで】
第6図以下☗2八玉☖6四銀☗4七金☖7五歩☗3八飛(第7図)と袖飛車に飛車を転換して反撃するのが美濃にはない手段だ。
【第7図は☗3八飛まで】
以下は一例の進行である。
☗3五歩☖同歩☗同飛のとき、☖8六歩☗同歩☖8八歩が生じるのだが、このとき9筋の歩交換が入っているため☗9七桂(第8図)とできる。この袖飛車の構想を生かすことができるため、基本図では☗4六歩を選んだのである。袖飛車は玉頭で手を作れるため良い勝負だ。
【第8図は☗9七桂まで】
◇持久戦にはミレニアム
第5図以下☖7四歩☗2八玉☖3三角(第9図)として☗2八玉をみて穴熊を目指すのは一手損ながらミレニアムに組むのがよい。
【第9図は☗4六歩まで】
後手四間飛車ミレニアムの場合、下図のように早めの☗8六角と出てで形の悪い☖6三金を強要されてしまうところだが、本譜は☖7四歩が早いので、☖2四角には☗4五歩でよい。この形の四間飛車ミレニアムに組めるならば不満のない展開である。
◇☖7二飛の変化
☗5六銀と上がる形は☖7二飛(第10図)が気になるところだろう。☗6六角では☖8二飛で千日手模様になってしまう。
【第10図は☖7二飛まで】
第10図以下は☗3八金として7筋の歩交換を受け入れ、☗2九玉(第11図)とミレニアムに組むのがよい。
【第11図は☗2九玉まで】
第11図以下☖1二香は☗2五桂☖5一角☗4五歩と仕掛けて先手良し。☗2九玉として☖7三角が王手にならないように備えたおかげで攻めが続く。
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